業務の概要
水産資源の管理・増殖に関する研究
再生産が可能な水産資源を持続的に利用するため、本県重要魚種の漁獲動向を把握するとともに、稚魚や産卵親魚の適切な管理、人工種苗の放流、漁場や増殖場の造成などにかかる調査研究を行っています。
主な活動
アジやマダイなど主要魚種の漁獲データを定期的に収集するとともに、漁獲物の体長や重量を測定し、資源動向を解析しています。
(写真:漁獲物の測定)
漁場において主要魚種の資源量を調査しています。
(写真:潜水調査によるアワビなどの生息状況調査)
人工種苗や産卵親魚の放流手法の検討や放流効果を調査しています。
(写真:放流用クルマエビの稚エビ)
魚礁や増殖場の集魚効果を調査しています。
(写真:人工魚礁に集まる魚)
養殖生産の安定・増大に関する研究
本県を代表するノリやカキなどの養殖水産物の生産を安定・増大させるため、養殖場のモニタリング調査や養殖技術の改善にかかる研究に取り組んでいます。
また、DNAなどの分析により、病害の診断やその対策、ノリの優良品種の開発などに取り組んでいます。
主な活動
ノリ養殖の安定生産のため、水温やノリの生長に必要な海の栄養分を調査し、その動向を把握するとともに、漁業者への迅速な情報提供、養殖指導を行っています。
(写真:ノリ漁場の海水採水)
カキ養殖の安定生産のため、成長や漁場環境などの調査を行い、漁業者に情報を提供しています。また、安定したカキ種確保のため、採苗技術に関する研究を行っています。
(写真:カキ漁場の調査)
県産真珠の安定生産を目指して、アコヤガイ養殖に関する調査を行っています。
(写真:相島産真珠)
コイヘルペスウィルス病など魚介類に甚大な被害を引き起こす病気のまん延を防ぐため、養殖水産物を中心に定期的な検査を行っています。
(写真:コイヘルペスウィルス病の検査)
漁場環境の監視・保全に関する研究
気象・海象の変化や長期的な海洋環境の変動を把握するため、定期的に漁場の水質・底質を調査するとともに、赤潮や貝毒の発生状況を監視しています。
また、覆砂(泥化した海底を砂で覆う)による漁場改善、藻場の回復に向けた効果的な手法の開発などに取り組んでいます。
主な活動
魚介類の分布や成長を把握する上で必要となる水温などの環境情報を収集するため、 定期的な海洋観測のほか、自動観測装置の設置などにより、環境モニタリングを行っています。
(写真:定期的な海洋観測調査)
プランクトンの大量発生による赤潮で魚介類がへい死することがあります。魚介類への被害を軽減するため、 赤潮の発生や動向の監視に努めています。
(写真:沿岸域に発生した赤潮)
藻場はアワビやサザエなどの漁場であるとともに、多くの魚介類の産卵場や育成場としても重要な役目を果たします。 現在、藻場が減少している漁場において、藻場再生のための試験研究や漁業者への指導に取り組んでいます。
(写真:藻場の分布状況調査)
環境が悪化した漁場に、覆砂などによる底質改善試験を行い、その改善効果を調査しています。
(写真:有明海で底質改善漁場に発生したタイラギ)
漁業経営の安定・向上に関する研究
漁業経営が厳しい中、収益性の向上を図るため、省コスト漁具の開発や経営診断などによる経営の合理化や、水産物の鮮度保持、未利用魚の加工品開発などに関する調査研究を行っています。
また、漁業者による直接販売の取組を支援するため、既存の直売所や未開拓地域での水産物ニーズの把握などにより、効果的な販売方法に関する調査研究を行っています。
主な活動
省コスト漁具の開発や経営・操業実態の分析などにより、漁業経営の合理化に向けた検討・提言を行っています。
(写真:省コスト漁具の開発試験)
漁獲物の活魚化、効果的な活き〆など、漁業者が低コストで実践できる鮮度保持技術の開発に取り組んでいます。
(写真:簡易な海水冷却装置)
アカモク(海藻)など、未利用・低利用資源を活用した商品開発に取り組んでいます。
(写真:アカモクの水産加工)
近年、進展している直接販売に関して、漁業経営の改善効果を調査しています。 また、各種販売対策イベントに参加し、県産水産物の消費動向、ニーズなどを調査しています。
(写真:漁業者による水産物の直接販売)
調査・研究成果の普及指導
定期的な漁場環境調査の結果や赤潮・貝毒発生情報、養殖情報などを漁業者へ提供するとともに、適宜、必要な指導を行っています。特に有明海では、ノリ養殖時にリアルタイムな海況情報を提供する「有明テレメータシステム」を開発し、当HPで公開しています。
また、各種漁業者会議に積極的に参加し、研究成果や新技術の導入などを漁業者とともに現場で実践しながら、普及・指導に努めています。
主な活動
有明海のノリ養殖の管理に必要な水温、塩分などの漁場情報を漁業者へリアルタイムに提供するとともに、ノリの病害がまん延しないよう養殖指導を行っています。
(写真:有明海に設置している自動観測装置)
カキ養殖の安定生産のため、耐波性イカダを開発し、養殖漁場への導入が進んでいます。
(写真:カキ養殖の耐波性イカダ)
全国に先駆けてフトモズク養殖技術を開発し、漁業者に技術導入を図っています。
(写真:養殖されたフトモズク)
漁業取締り
本県海域の漁業秩序の維持を図るため、当センターで3海区計4隻の調査取締船を配備し、漁業違反の取締や操業トラブルの指導を行っています。
主な活動
水産資源の保護や漁業秩序維持のため、各海区に4隻の調査取締船を配備し、違反操業や密漁の取締りを行っています。
(写真:調査取締船つくし)
県民への施設開放、情報提供
県民の皆様に本県の水産業を理解していただくために、漁業や海に関する展示を水産資料館(入館無料)で行っています。
また、サイエンスマンスなど、各種イベントの開催や要望に応じた実習・研修・講演などを行っています。
主な活動
漁業関係者が取り組む水産加工品開発のため、センター加工関連施設の開放を行っています。
(写真:漁協女性部によるカキ燻製の試作品づくり)
福岡県水産資料館では、水産業に関するビデオ視聴、展示物見学やチリモンなどの体験学習を無料で行うことができます。
(写真:チリメンを用いた「チリモン実習」)
福岡県の水産業や海の科学に関する理解を深めてもらうため、定期的にイベントを開催しています。
(写真:サイエンスマンスのノリすき体験)
他の団体主催のイベントにも積極的に参加し、福岡県の水産業や海の情報について紹介しています。
(写真:地元商店街でチリモン実習)